プロジェクト・エシンの基盤は、明らかに存在するいくつかのニーズから生まれたものです。
● 既存の教育機関では、生徒はそのクリエイティブな才能を使って生活できるような教育は受けられません。そのためには実戦的な経験と、それぞれの将来進む方向に合致した作品を集めたポートフォリオの構築が必要です。
クリエイターの多くが、その才能で生活の糧を得るために苦闘しています。フリーランスのクリエイターにとっては、クライアントを見つけ、クライアント相手に交渉するのが大きな課題であり、一方、クリエイターのニーズを理解せず柔軟性に欠ける組織の中で働くのは息苦しく苛立たしいものです。クリエイターの多くはまた、企業のニーズや経営面からの要求をほとんど理解しません。それをより理解することで、クリエイティビティを開花させる余裕が生まれます。
● クリエイティブなことをしたいと思いながらも正式なトレーニングを受けた経験がない人はたくさんいます。そういう人は、自分を満足させられない分野で長年仕事をしてきているかもしれません。
● 長年クリエイティブ業界で仕事をしてきた人は「燃え尽き症候群」に苦しみ、自分がこの仕事を選んだそもそもの動機がわからなくなることがあります。そういう人は、かつて自分を駆り立てた情熱を再発見し、或いは自分のエネルギーと才能を活かす新しい方向性を模索する必要があります。
● クリエーターは、創造のプロセスを具体的に理解し、クリエイティブな作品の創造において何が重要か、そこにどんな現実があるかを理解するマネージメントを必要とします。独りで仕事をするクリエーターはビジネスの基本概念を学び、それがクリエイティビティとどう関係するかを理解することが必要です。グループで仕事をする人は、会計、マーケティング、営業等の技術へのアクセスが必要です。
● 企業はクリエイティビティに対してはっきりしたニーズを持っています。競合企業との競争に勝つためにイノベーションが重要である業種では特に、社員や請負業者が提供する制作物こそ、企業の生命線とも呼べるものなのです。
企業は、クリエイティブな人材を引き寄せ、クリエイティビティを発揮させなくてはなりません。そのためにはまず、クリエイティビティとは何か、それを刺激するにはどうすればよいか、そして何がクリエイティブな人間を創造へとかき立てるのか、それを理解する必要があります。また企業はクリエイティブ・スタッフがいつまでも新鮮で刺激に満ちた気持ちでいられるようにする必要があります。
● 多くの企業が、ビジネスに役立つ革新的なアイデアを得るためにクリエーターと対話することを必要としながら、その方法を知りません。そのため第三者が間に入ってセレクション・プロセスを担当することになりますが、それは例外なくコミュニケーションの劣化を招き、最終的な成果をつまらないものにします。
● 将来的に高い価値を持つ産業の誘致を望む地方自治体や中央政府機関は、クリエイティブによる経済の活性化の可能性を認めてはいても、どうしたらそれを活性化できるかを知りません。規模の小さい事業計画は自ずと限界があり、無計画にアート支援の資金を提供するのは逆効果を招きがちです。
伝統的な第一次産業が衰退した自治体にとって、自立出来る経済体系の確立が急務です。クリエイティブ産業は急成長の可能性を持つ点が魅力です。投資と観光客を呼び込みたい自治体にとって、クリエイティブ事業が生む文化活動によって得られる国際的な認知は非常に価値あるものと言えます。
● 現在、多くの人の間で、精神的な気づきと個人的成長へのニーズが高まりつつあります。創造への欲求は多くの場合こうしたニーズの現れです。こうした深遠な課題が、生活や仕事における、より実際的な関心事と融合できないはずはありません。